第14回:connect the dots(意味:点と点を結んで全容を明らかにする)

Idiom

この表現は、上記画像のように「点と点を線で結ぶ遊び」から来ています。
皆さんの中にも、子供のころにやったことがある人は居るのではないでしょうか?
上記サンプルはとても簡単なものなのでぶっちゃけ線を引かなくてもどのような絵なのか分かりますが、難しいものになると、実際に線を引いてみないと何の絵が出来上がるか見当もつきません。
そこから転じて、以下のような意味があります。

  • 点と点を結んで全体像を作り上げる・全容を明らかにする・結論を引き出す

大分昔に話になりますが、私が最初にこの”connect the dots”という表現に出会ったのは、アメリカの24(TWENTY FOUR)というテレビドラマでした。アメリカの架空の連邦機関(テロ対策ユニット)を中心に、テロ組織との戦いを描くアクションものです。その中で、幾つかの手掛かり(点)を元に、真相を突き止める(線にする)というシーンで、”connect the dots” という表現が使われていました。点の1つ1つ(状況や証拠の1つ1つ)では真実に辿り付けなくても、それらが繋ぎ合わさると事件の真相が見えてくる、というものです。

また、このフレーズは、Apple創業者のスティーブ・ジョブズが、スタンフォード大学の卒業式で行ったスピーチで使われていたことでも有名ですね。こちらは上述とは違う意味で使わており、「過去の経験や出来事(一見すると無関係な点)が繋がって、その後の人生で役に立った・大きな影響を与えた(それらがなければ今の自分はなかった)」ということを伝える際の表現として用いられています。

スティーブ・ジョブズの演説(もう少し詳細)

ジョブズは演説の中で3点話をしていますが、その1点目が”connecting the dots”についてでした。Macを開発する際に、過去の経験(点)が繋がり活かされた経験に触れ、「今やっていることが将来どこかで繋がり実を結ぶと信じるんだ」と伝えています。

以下、スティーブ・ジョブズの演説の中で語られたconnecting the dotsに関連する部分です。

彼は経済的な理由で大学を辞めましたが、退学後も暫くは興味のある授業に潜り込み、カリグラフィー(文字を美しく見せるための手法)などを学びました。退学しなければ受講しなかったであろうカリグラフィ。逆に、退学して興味のない必須科目を受ける必要がなくなったことで、得た経験でした。これが10年後にマッキントッシュを開発する際に活かされることとなります(カリグラフィーを学んでいた当時は、それが何かの役に立つと考えていたわけではなかったそうですが)。
その後、20歳でAppleを創業し、10年後には売上高20億ドル・社員数4000人を超える会社に育てるも、30歳の時に自社の取締役会から代表の交代を求められ、自分が作った会社から追放されることになります。それでも希望を持ち情熱を燃やし続けたジョブズは、新たにNeXTやPixarを立ち上げ、「トイ・ストーリー」等のヒット作を生み出します。後にNeXTはAppleに買収されてジョブズはAppleに復帰することとなり、iPhoneなど再び数々のヒット商品を世に送り出します。

ジョブズは演説の中で「退学してなかったらカリグラフィの授業に潜り込むこともなかったし、パソコンに現在のような素晴らしいフォントが実装されることもなかったかもしれない」と語っています。「退学」や「カリグラフィー授業の受講」は点であり、それらが全てその後のマッキントッシュの開発に繋がっている(線)というわけです。彼の”connecting the dots”の話はここまででしたが、その後の演説の内容も、私から見ると正に”connecting the dots”だな、と感じるものでした。(Apple追放後に創業したNeXTが奇しくもAppleに買収されたことでAppleへの復帰を果たし、また、そのNeXTの技術が現在のAppleを支えている。結果として全て将来に繋がっていたんだな、と)。

経済的な理由での退学や自分が作った会社からの追放など、彼はとても大きな困難や挫折に直面しました。そんな彼が語った「その経験は必ず糧となり将来に繋がると信じて生きることが大切である」という言葉には、とても重みがあります。

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